バトンクッキー


 しかし、きっちり変化はしたが、やや高目にいった。


 湯上谷は左膝を地面につけてスイングしかかったバットをとめた。


 ゴリが湯上谷の胸元の高さでキャッチする。


 判定はボール。


 カーブを投げてくるとは予測していなかったのだろうが、高目に浮いたので打ちにいこうとしたのだ。


 もう少し甘いコースに入ってきていたら、打たれていたかもしれない。


 水原のカーブはもろ刃の剣。


 高低、コース、キレの三拍子が揃うことはまずない。救いは腕の振りが良いため、バッターが釣られてスイングすることだ。

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