バトンクッキー


 プレイが再開されると、まず1塁に牽制球を投げてから、加瀬は四球目を投じた。


 そして、終盤で追いつくために必ずバントしてくるという支持が監督からあったのか、懲りずにまた前進してくる。


 投げてきたのはやはりスライダーだが、コースもキレも甘かった。


 おれのフルスイングの打球は右中間に飛び、ラバーフェンスに跳ね返ったボールをライトがツーバウンドで掴む。


 ライトからの送球をセカンドが捕り、バックホーム。


 3塁を回っていた太田が頭から突っ込んでクロスプレイかと思われたが、送球は手前でショートバウンドになり、キャッチャーは前に落とすだけで精一杯。

< 287 / 366 >

この作品をシェア

pagetop