バトンクッキー


「そうか」


「勝手なことしてすいません」

 水原がペコペコ頭を下げた。


 自分のやったことの意味がわかっているのか疑問だが、素直に謝れては怒ることはできない。


「ところで昼飯は食ったのか?」

 ライン引きを担いで体育倉庫に向かおうとする水原の背中に問いかけた。


「はい」


「本当か?」

 おれは疑いの眼差しを向ける。

 食べてからライン引きを用意する時間を含めると……そんな余裕はなかったはず。

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