愛の雫
「良かったな!」


「うん!」


凪兄の言葉に素直に頷けるくらい嬉しくて、自然と笑みが零れた。


「希咲は、そうやって笑ってる方がイイよ」


そう言った彼は、笑顔であたしの頭を撫でた。


その瞬間、学校での凪兄の言葉を思い出して…


「彼女……」


あたしは小さく呟いて、咄嗟に彼の手を振り払ってしまった。


あたしの行動に目を見開いた凪兄は、不思議そうにしている。


そんな彼を前に、また胸の奥がチクチクと痛み出した。


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