愛の雫
「気安く触らないでよ……」


「え……?」


こんな風に言ったのは初めての事で、目を見開いた凪兄を見ながら益々戸惑っていた。


理由は、本当にわからない。


だけど…


凪兄に頭を撫でられた瞬間、彼に触れられたくないと思ってしまった。


「希咲?どうし……」


「……彼女がいるくせにっ!!」


凪兄の言葉を遮ったあたしは、怒鳴るように言い放つ途中でホームへの階段を駆け上がった。


そして、発車寸前だった電車に飛び乗った。


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