愛の雫
恐る恐る早苗の部屋に戻ると、電気が消えていた。


静かにドアを閉めて、真っ暗な部屋に敷かれた布団の上に座る。


早苗が眠っているとは思えなかったけど、何を話せばいいのかわからなくて、結局は何も言わずに布団の中に潜り込んだ。


だけど、頭まですっぽりと被った布団のせいで息苦しくなって、すぐに顔だけを出した。


時計の秒針の音が響く部屋の中で、息を潜めながら早苗の様子を窺ってみたけど…


ベッドで横になっている彼女からは、起きている気配はしなかった。


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