愛の雫
「あたしね……」


「ん?」


「凪兄の事……ほんのちょっとだけ、好きかもしれない……」


「……うん、そうだね」


早苗は優しく言って、あたしの手をそっと握った。


「てか、希咲はやっぱり素直じゃないよね」


ハハッと苦笑いを零した彼女が、『意地っ張り』って言葉を付け足してから、あたしの頬を軽く抓(ツネ)った。


「痛いし……」


眉を小さく寄せたあたしも、仕返しと言わんばかりに早苗の頬を軽く抓ると、彼女がまたフッと笑った。


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