愛の雫
ヤバイ……


明らかに目の色を変えた絵里香を見て、あたしは瞬時にそう思った。


だけど、もう遅い。


賑やかなファーストフードの店内で、あたし達のテーブルだけが異様な空気を纏っていたから…。


絵里香はそんな雰囲気を一蹴するように口元を緩め、見下すような笑みを見せた。


「てか、希咲って自分の意思とかあるの?いっつも曖昧な返事ばっかりだし、そもそも何考えてるのか全然わかんないしさぁ……」


そう言った彼女の声は、酷く冷ややかなトーンだった。


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