愛の雫
何も答える事が出来なかった。


さっきまでは何事も無く、明るい雰囲気で過ごしていたハズなのに…


今は絵里香が見せる笑顔がやけに恐く感じて、彼女が纏っている空気はとにかく冷たい。


そんな雰囲気に呑まれてしまったせいなのか、暖かい店内で背筋が凍るような異様な寒さを感じた。


切り返す言葉を見付けられないあたしは、ただただ視線を泳がせてしまう。


そんな雰囲気の中…


「……あのっ!!希咲ちゃんっ!!」


突然、朋子が声を上げた。


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