愛の雫
凪兄の家から逃げるように帰って来た翌朝、起きてすぐにシャワーを浴びて制服に着替え、憂鬱な気持ちでリビングに行った。


「あっ、希咲ちゃん……。おはよう」


顔を合わせる度に遠慮がちに声を掛けて来る陽子さんに、イライラが募る。


「希咲、挨拶くらいしなさい」


そう言ったパパにも、困惑したように見ている陽子さんにも返事をせずに、冷蔵庫からオレンジジュースを出してコップに注いだ。


「希咲ちゃん、朝ご飯は?」


程なくして、陽子さんが控えめに訊いた。


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