愛の雫
「希咲、ちゃんと返事をしなさい」


何を訊かれても答えないあたしに、パパが再度注意をして来たけど…


それでも言葉を返さず、眉を寄せながらコップを濯(スス)いで片付ける。


「希咲ちゃん!」


そのままリビングを出ようとしたあたしを、すかさず陽子さんが呼び止めた。


「お弁当作ったんだけど、よかったら……」


そして控えめに言いながら、テーブルの上に置いてあったお弁当を怖ず怖ずと差し出した。


あたしはそれを見た後、すぐに陽子さんを睨み付けた。


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