愛の雫
カウンターに戻るとすぐに、早苗は空いたばかりの部屋の片付けに行った。


「じゃあ、希咲ちゃんはこのドリンクをよろしくね」


「えっ?これだけなんですか?」


乃依さんが用意してくれた三個のグラスを見て、思わずそう訊いてしまった。


「うん、そうだけど……。どうかしたの?」


「あ、いえ……。てっきり、もっと大勢で来てるのかと思ってたから」


あたしは不思議そうな顔をした乃依さんにそれだけ言い残し、三人分のドリンクを持って指示された部屋に向かった。


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