愛の雫
部屋の手前で軽く深呼吸をし、ドアノブに手を掛けた。


このドアの向こうに絵里香がいるんだと思うと不安になって、足が竦みそうになってしまう。


ガラス張りのドアは、上部と下部以外は磨(ス)りガラスになっているから、あたしの身長だと部屋の中が見えない。


余計に不安を感じてしまうのは、そのせいなんだと思う。


何とか覚悟を決めてドアを開け、平静を装って中に入った。


「失礼します」


その瞬間…


あたしは視界に広がる光景に絶句し、自分の目を疑った。


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