愛の雫
「離してよ……。仕事が……」


「まぁそんなにビビんなよ」


恐る恐る顔を上げてあたしの言葉を遮った泰人を見ると、気持ち悪いくらいニヤニヤと笑っていた。


その表情に背筋がゾクリとして、今度は全身が震え始める。


この状況に身の危険を感じたのか、掴まれたままの手首から恐怖心が生まれた。


「忙しいから、マジで離してよ……」


震える声で呟くように訴えると、泰人が厭(イヤ)らしさを含むように笑った。


「イイぜ。但(タダ)し、条件があるけどな」


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