愛の雫
密着する泰人の体。


上半身を這い回る手。


両腕を拘束する力。


ベタつく肌。


流れ続ける音楽。


その全てが全身を通して心にまで纏わり付き、あたしから抵抗する気力を奪っていく。


気持ち悪い……


そんな容易(タヤス)い言葉で片付けられるような事じゃないけど、頭の中にはそんな有り触れた言葉しか浮かんで来なかった。


「……っ……は、放し……てっ……!」


それでも僅かに残った気力だけを頼りに、必死に抵抗を続けた。


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