愛の雫
「……わかった」


しばらく黙っていた店長が、息を小さく吐いてからゆっくりと頷いた。


唇を噛み締めながら眉を寄せていた凪兄は、歪めたままの表情であたしを見つめていた。


本当は、警察沙汰になるくらいの事をされたのかもしれない。


だけど、そうなってしまえば、関係の無い凪兄や皆を巻き込んでしまう事になる。


自分が傷付く事よりも、あたしのせいで周りに迷惑を掛けたり、皆を傷付けるのが嫌だった。


何よりも、凪兄の事をこれ以上傷付けたくないと思ったんだ…。


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