愛の雫
少しの間黙り込んでいた小谷さんは、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめていた。


あたしも無言のまま、彼を見つめ返す。


この沈黙に緊張が走って、小谷さんから視線を逸らしてしまいたくなる。


「……わかった」


程なくして、彼が納得したような表情で呟いた。


「じゃあ、今回の事は俺が責任を持ってきちんと処理しておくよ」


「あっ、あの……」


小谷さんは、言葉に詰まったあたしを真っ直ぐ見つめたまま、安心を与えてくれるような優しい笑顔を見せた。


< 506 / 830 >

この作品をシェア

pagetop