愛の雫
「じゃあ、俺はもう行くから」


「あぁ、悪かったな……」


小谷さんは申し訳なさそうにしている店長に小さな笑みを返した後、あたしと凪兄を交互に見た。


「君達は、後でちゃんと手当てして貰うんだよ」


「あのっ……!」


凪兄が小谷さんに頭を下げたのと同時に、あたしは思わず立ち上がっていた。


「ん?」


「本当に……っ、ありがとうございましたっ……!」


振り返った小谷さんにお礼を告げると、彼は優しい笑みを残して控室を後にした。


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