愛の雫
「あの、すみません……」


俯きがちに謝ったあたしに、店長が笑顔を向ける。


「気にしなくてイイよ。それより、早く手当てしないと……」


彼はそう言いながら、あたしと凪兄に視線を遣った。


「早苗ちゃん、救急箱取って来てくれる?」


「あっ、はい」


店長に指示された早苗は、すぐにドアノブに手を掛けようとした。


その瞬間…


「希咲ちゃんっ!!」


勢いよくドアが開いて、血相を変えた陽子さんが控室に飛び込んで来た。


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