愛の雫
「さ……再来週……」


顔を歪めたままの陽子さんが、声を絞り出すようにして答えた。


「病院はどこですか?」


素早く携帯を取り出した店長が訊くと、陽子さんは大きく深呼吸をしてから唇を動かした。


「芦田(アシダ)産婦人科です……」


「そこなら、救急車呼ぶより車出した方が早いな」


店長は、携帯をポケットに戻しながら続けた。


「俺が車を出すから、病院に行きましょう。歩けますか?」


陽子さんは顔をしかめながらも、小さく頷いた。


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