愛の雫
「親心なんて、子供にはわからないものだものね」


親心……?


あたしと陽子さんには血の繋がりは無いし、親子だと言えるような仲じゃない。


だから、看護師の言葉が引っ掛かって…


「あたしとあの人、血が繋がってないんですよ……」


あたしは皮肉を込めて言い放ち、唇を噛み締めた。


「そう……。でも私には、血の繋がりよりも深い繋がりがあるように見えるけどね。……はい、出来たわよ」


看護師は真剣な表情で話した後、ニッコリと笑った――…。


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