愛の雫
「落ち着いて聞いてね?」


冷静に前置きをした看護師が、あたしを真っ直ぐ見つめた。


「あなたのお母さんね、すごく危険な状態だから手術をする事になったの」


目を見開いたあたしに、看護師が真剣な表情のまま話す。


「緊急を要するから手術はもう始まってるんだけど、お父さんにすぐに来て貰えるように伝えてくれる?」


頭がガツンと殴られたような衝撃を受け、真っ白になった。


言葉を発する事はもちろん出来なくて、自分がどうやって立っているのかすらわからなくなる。


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