愛の雫
隣を見上げると、凪兄があたしの手を握ったまま優しく微笑んだ。


「希咲、大丈夫だから。ゆっくり深呼吸してみな?」


穏やかに言った彼が、あたしの背中をポンポンと撫でながら深呼吸を促す。


あたしは凪兄の手を握り返し、息を吐いてから深呼吸をした。


「うん、そうそう。じゃあ、そのままもう一回深呼吸してみな」


彼に言われた通り、今度はさっきよりもゆっくりと深呼吸をした。


「大丈夫か?」


凪兄にそう訊かれた時、あたしは落ち着きを取り戻していた。


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