愛の雫
凪兄に手を引かれながら処置室を後にすると、奈緒ちゃんが不安そうに辺りを見渡していた。


「あっ!二人とも、どこ行ってたのよ?」


「処置室で手当てして貰ってたんだ」


凪兄が微笑むと、奈緒ちゃんが息を吐いた。


「希咲ちゃんのお父さん、仕事の都合が付き次第ここに来るって。とりあえず、それまではあたし達も希咲ちゃんと一緒にいようね」


「その事なんだけどさ……」


眉を寄せながらそう前置きをした凪兄が、看護師から説明された事を奈緒ちゃんに話し始めた。


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