愛の雫
「希咲、落ち着け」


凪兄の言葉を一蹴するように、首をブンブンと横に振る。


陽子さんの事なんて大嫌いで、あんな人はどうなってもいいと思っていた。


赤ちゃんなんて生まれて来なければいいと、心のどこかではずっとそう思っていた。


だけど…


こんな風になって初めて、自分が考えていた事に大きな恐怖を覚えた。


心が真っ黒な闇に包まれていく気さえする。


自分勝手なあたしは、こんな事になるまで自分自身の愚(オロ)かさに気付けなかったんだ…。


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