愛の雫
「希咲だって、本当はもうちゃんとわかってるハズだよ。希咲は充分頑張って来たんだから、もう一人で頑張る事なんかないんだ……」


「え……?」


凪兄が何を言っているのか、よくわからなかった。


あたしは何も頑張って来ていないし、今だって頑張ってなんかいない。


「希咲……。陽子さんの事を、無理に“お母さん”だと思う必要はないんだ。まずは“家族”として、向き合う事から始めればイイんだよ」


凪兄の言葉を理解出来ずに戸惑っていたあたしを余所に、彼が柔らかい笑顔を見せた。


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