愛の雫
「大丈夫。希咲なら、ちゃんと向き合えるよ」


凪兄は、あたしを抱き締めたまま囁くように言った。


「でも……」


「ん?」


「話し合ったって、わかり合えるとは限らないじゃん……」


「そんな事ない。絶対にちゃんとわかり合えるから」


「そんなの……わかんないじゃん……」


「希咲……」


不安を零すあたしの名前を、凪兄が宥めるように呼ぶ。


「……っ!だって……」


言葉に詰まったあたしは、彼から体を離した。


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