愛の雫
その日の放課後、絵里香に強引に引っ張られて校舎を出ると、校門に寄り掛かりながら立っている泰人がいた。
「ほら、希咲♪泰人、もう来てるよ!やっぱり希咲は愛されてるんだね!」
歩きながら笑顔を見せた彼女に、取り繕うような愛想笑いを浮かべる。
その時、口元が引き攣っていると感じたのは、きっと気のせいなんかじゃない。
近付く校門が、引き返せない暗闇への入口みたいに思えて…
身が凍り付きそうな寒さを感じる真冬なのに、あたしの手はジワリと汗ばんでいた。
「ほら、希咲♪泰人、もう来てるよ!やっぱり希咲は愛されてるんだね!」
歩きながら笑顔を見せた彼女に、取り繕うような愛想笑いを浮かべる。
その時、口元が引き攣っていると感じたのは、きっと気のせいなんかじゃない。
近付く校門が、引き返せない暗闇への入口みたいに思えて…
身が凍り付きそうな寒さを感じる真冬なのに、あたしの手はジワリと汗ばんでいた。