愛の雫
再び引き戻された、微妙な沈黙。


それを重苦しく感じる一方で、この静かな空間の中に思っていた程の気まずさは無かった。


それでも会話の糸口を見付けられなくて、ベッドを包んでいる真っ白なシーツに視線を落とす。


「手当て……」


「え?」


「……して貰ったのね。良かった……」


思わず顔を上げたあたしの視線の先には、安堵の笑みを浮かべる陽子さん。


陽子さんのその表情を見た時、何だか胸の奥がキュウッと締め付けられるような気がした。


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