愛の雫
「あたしの気持ちなんて無視して勝手に家に来たくせに、今度は出て行くなんて何なのっ!?」


声を荒げたあたしに、陽子さんは目を見開いた。


「希咲ちゃん……」


「あたしがどんな気持ちで、アンタやパパと向き合おうとしたと思ってんのよっ!?せっかく決意したのに、あたしの話は聞かないで逃げ出すつもりなのっ!?」


随分、自分勝手な言い分だと思う。


今まで散々蔑んで来たくせに、今更こんな事を言うなんて身勝手過ぎるって事もわかっている。


だけど…


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