愛の雫
「いきなり家に来て散々引っ掻き回したくせに、最後は背中を向けて出て行くの!?」


「違っ……!私、そんなつもりじゃ……」


陽子さんは悲しみを帯びた瞳を揺らして、首を微かに横に振った。


わかってる……


だけど、納得出来ないんだ…。


「……っ!全部……アンタのせいで……」


こんな風に言うつもりは無かった。


だって…


あたしは、こんな事を言いたい訳じゃないんだから…。


もうこれ以上、陽子さんの事を傷付けたくないのに…。


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