愛の雫
パパは唇を噛み締めた後、ゆっくりと口を開いた。


「希咲、今まですまなかった……。父さんは、希咲の気持ちをわかって……」


「別にもうイイよ」


パパの言葉を遮って、小さな笑みを向ける。


「今まで心配ばっかり掛けて来て、ごめんなさい……」


「希咲……」


「あたし、陽子さんと家族になれるように頑張るから」


その言葉にも、心にも、もう迷いは無かった。


パパの瞳を真っ直ぐ見つめると、その目尻にうっすらと涙を浮かべていた。


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