愛の雫
本当は、まだまだ話し足りないのかもしれない。


だけど…


今は、もうこれで充分だと思えた。


ちゃんと向き合う事が出来たのかは、自分ではよくわからないけど…


足りない分は、これから少しずつ補っていけばいい。


ゆっくり、ゆっくりと…。


涙を拭ってから顔を上げると、優しく微笑んだままのパパと目が合った。


「……ほら、早く陽子さんのとこに行ってあげなよ」


少しだけ強引にパパの背中を押した後、病室に押し込めるようにドアを閉めた。


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