愛の雫
「よく頑張ったな」


その言葉と一緒に、頭の上に降って来た温もり…。


それが凪兄の手だと気付くのに、数秒も掛からなかった。


あたしの頭を優しく撫でているその手は、あたしの心も一緒に包み込んでくれる。


その温もりにまた涙が溢れ出して、顔を上げるまでに少しだけ時間を要(ヨウ)した。


程なくしてゆっくりと上を向くと、目の前には満面に優しい笑みを浮かべた凪兄がいて…


彼のすぐ後ろでは、奈緒ちゃんが微笑みながらあたし達の事を見つめていた。


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