愛の雫
「……っ、あのっ、希咲です!」


咄嗟に名乗ったあたしの中に、緊張が走った。


「希咲ちゃんっ!?」


間髪を入れずに大声で言った乃依さんに、慌てて返事をする。


「はっ、はい……。あの……」


「お母さん、大丈夫だった!?希咲ちゃんは大丈夫!?怪我、痛いよね!?」


答える隙が無いくらい矢継ぎ早に質問された事に、驚きを隠せなかった。


だけど、乃依さんが本当に心配してくれていたんだって事が伝わって来て、不謹慎にも嬉しさが込み上げて来る。


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