愛の雫
しばらくの間うなだれていたあたしは、視線の先にある家族写真を見てハッとした。


あっ、奈緒ちゃん……


色んな事を考えていたせいで、電話が終わったら奈緒ちゃんの部屋に行くと約束していた事をすっかり忘れていた。


急いで火燵のスイッチを切って、リビングを後にする。


廊下に出ると、バスルームから聞こえて来たシャワーの音で凪兄の事が頭を過ぎって、途端に心がざわめき出した。


悩んでばかりの自分に嫌気が差すのを感じながら、足早に奈緒ちゃんの部屋に向かった。


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