愛の雫
どうしよう……


こんな時に限って、携帯を触る気分にはなれない。


眠れないのにずっと横になっている事が辛くて、ゆっくりと体を起こした。


あたしの視線の先には、凪兄の部屋とこの部屋を隔てる壁…。


彼は、1時間近く前に自分の部屋に戻ったみたいだし、もうとっくに眠っているハズ。


目の前の壁の向こうにいる凪兄の事を考えると、やり場の無い感情がゆっくりと蘇って来る。


同時に、早苗が電話で言っていた事を思い出して、また胸の奥が締め付けられた。


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