愛の雫
奈緒ちゃんを起こさないようにそっとドアを開け、静かに部屋を後にした。


その瞬間、素足に感じたひんやりとした床。


背筋がゾクリとしたのは、その冷たさのせいだけじゃないのかもしれない。


出来るだけ足音を立てないように階段を降りながら、凪兄に何を言おうかと必死に考える。


だけど…


浮かんで来る言葉は、どれも本当に言いたい事じゃないようにも思える。


結局、考えがちっとも纏まらないまま最後の一段を降り、あっという間にリビングの前に着いてしまった。


< 741 / 830 >

この作品をシェア

pagetop