愛の雫
カチャリと音が鳴ってリビングの中が視界に入って来たのは、それからしばらく経ってからの事だった。


突然ドアが開いた事と、目の前に凪兄が立っている事に驚いて、目を見開いてしまう。


「どうした?眠れない?」


普通に話し掛けられた事に戸惑いながらも、慌ててコクリと頷いた。


「そこ、足冷えるだろ?こっちにおいで」


凪兄は優しく言った後、クルリと背中を向けてキッチンに行った。


あたしはまだ戸惑いを残したまま部屋の中に入って、後ろ手でドアを閉めた。


< 742 / 830 >

この作品をシェア

pagetop