愛の雫
やっぱり、何もかもが上手くいかない。


そんな自分に落胆して、結局は前に進めていない事に気付く。


悲しくなったのは、きっとその事を自覚したせい…。


ジワリと滲んだ涙が、マグカップを揺らした時…


「希咲」


頭の上から降って来た優しい声に導かれ、そっと顔を上げた。


「ちゃんと話してくれる?」


諭すように言った凪兄に、あたしは首を僅かに縦に振る事しか出来なかったけど…


それでも、彼はいつものように優しく微笑んでくれた。


< 779 / 830 >

この作品をシェア

pagetop