愛の雫
ボッと音が鳴ったんじゃないかと思うくらい、一瞬で顔中が熱くなったのを感じた。


しまった……


あたしにとっては本当に重要な事なのに、告白した事をすっかり忘れてしまっていたんだ…。


状況を理解したからには、凪兄を直視する事なんて出来ない。


逃げ場が無い事を知りながらも、無意識のうちに視線を泳がせていた。


その間も視界に入る凪兄は、何だか冷静なようにも見える。


動揺しているあたしを余所に、どこか余裕そうな表情の彼がゆっくりと立ち上がった。


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