愛の雫
思わず振り返ったあたしに、凪兄は悪戯な笑みを見せた。


「ク、クイズ……?」


まだ頬が熱を帯びているのを自覚しながらも、何とかそう訊いてみた。


「まぁ、そんなとこかな」


凪兄は曖昧に答えてから、棚から取り出した鍋で何かを作り始めた。


あたしは少しだけ落ち着きを取り戻していたけど、それが何なのかを考える余裕まではまだ無い。


「……で、どうしてだと思う?」


悪戯に微笑んだままの凪兄が、どこか楽しげな声であたしの答えを促した。


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