愛の雫
凪兄の顔が、ほんの少しだけ滲んで見える。


だけど…


泣いてしまうのは悔しい気がして、唇をギュッと噛み締めた。


「好きだよ、希咲」


それなのに優しく落とされた言葉のせいで、もう我慢出来なくなって…


咄嗟にマグカップに口を付けたあたしは、温かいカラメルミルクを一口飲んだ。


その瞬間、喉を伝ってあたしの内(ナカ)に流れ込んで来たのは、心を潤す愛の雫。


優しい味に頬を濡らした涙が一雫(ヒトシズク)、ポタリと落ちてカラメルミルクの中に混じった。


< 799 / 830 >

この作品をシェア

pagetop