愛の雫
しばらくして落ち着いたあたし達は、照れ臭さを隠すように離れた。


お互いにどこと無く余所余所(ヨソヨソ)しさを出しながらも、どちらも部屋に戻ろうとはしなかった。


結局、再び火燵に入る事にして今度は隣同士に座ってみたけど、どぎまぎしたまま過ごしているうちに眠ってしまっていた。


夢現な中、凪兄に握られた手から穏やかな気持ちが広がっていくのを感じ、時折ママの優しい笑顔を思い出して…


あたしは、彼が見付けた隠し味の答えはきっと間違いなんかじゃない、って思ったんだ――…。


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