愛の雫
淡い色をした桜が満開に咲き誇る春を迎えた、4月。


無事に進級する事が出来たあたしは、新学期からも前と変わらず学校に通う日々を送っていた。


「希咲ちゃん?朝ご飯出来てるよ」


ちょうど支度を済ませた頃、わざわざあたしを呼びに来た陽子さんに眉を小さく寄せ、部屋のドアを開けた。


「……だから、いちいち呼びに来なくてもイイってば」


退院したばっかりなんだから、ちょっとはゆっくりしなよ……


ため息混じりに言って、後に続く言葉を心の中で呟いた。


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