愛の雫
「おはよう、希咲」


先にテーブルに着いていたパパが、笑顔であたしを見た。


どこにでもあるような、普通の家庭の朝の風景。


だけど…


まだ少しだけ照れ臭い気持ちもあるあたしは、こんな事にも慣れられずにいる。


「……おはよ」


それでもぶっきらぼうに返すと、パパと陽子さんが優しく笑った。


「希咲も来た事だし、食べようか」


三人でテーブルを囲んで、食事を始める。


穏やかな雰囲気に包まれた朝は、どこか懐かしい匂いがした。


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