愛の雫
「はい、これ」


陽子さんに手渡されたマグカップに、ゆっくりと口を付ける。


その途端、甘い香りが鼻先をくすぐった。


「……相変わらず、微妙だね」


「そう……」


淡々と感想を述べたあたしに、陽子さんがガッカリしたように眉を下げる。


「まぁ、あたしは別に嫌いじゃないけど……」


その表情を横目にポツリと呟くと陽子さんが明るく笑ったから、思わずもう一言付け加えた。


「でもあたしが太ったら、この微妙なカラメルミルクのせいだからね」


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