愛の雫
「帰ろう、希咲」


そう言った凪兄は、いつもと同じ優しい笑顔であたしを見つめている。


あの家には、やっぱり帰りたいとは思えなかったけど…


今日は少しでも長く凪兄と一緒にいたくて、ゆっくりと立ち上がった。


「……帰ったら、カラメルミルク作ってくれる?」


「また?よく飽きないな……」


「好きなんだからイイじゃん……」


「はいはい、わかったから」


凪兄は呆れたように言った後、優しい笑みを浮かべながらゆっくりと頷いた。


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