愛の雫
凪兄と付き合い始めてから、前よりも彼の監視が厳しくなったように感じるのは、きっと気のせいなんかじゃない。


それがただの束縛なら、全力で拒否するけど…


あたしを心配してくれている事をわかっているから、以前みたいに強く言い返す事も出来なかった。


だけど…


そんな凪兄を前にすると、ついムッとしてしまうのも避けられない。


不機嫌な顔を見せるあたしに、彼がフワリと微笑んだ。


「希咲」


凪兄は優しい声であたしを呼んでから、ゆっくりと夜空を仰いだ。


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