わたしの、センセ
僕は、お腹の上にあるさくらの細い手にそっと触れた

「さくら、これ以上は触れちゃ駄目だよ。夕食、食べに行けなくなる」

「え?」

さくらの悲しげな返事が聞こえてくる

僕はさくらの指を掴むと、指先にキスをした

「僕が、さくらを食べたくなる」

僕は振り返るとさくらに微笑んだ

さくらの顔が赤くなると、僕の手に指を絡めて小さな声で「食べて」と呟いた

「そんな可愛いことを言わないの。僕の理性がきかなくなるでしょ」

僕は、さくらの額をツンと突いた

さくらが泣きそうな目をすると、僕の手首を掴んだ

「本当に…抱いて欲しい。センセに抱かれたい」

さくらが、僕の手首から手を離すと、服を脱ぎ始めた

「ちょ…ちょっと、待って!」

今度は僕が、さくらの細く手首を掴んで行動を止めた

「さくら、早まるなよ」

「早まってない! だってわたし、センセに抱かれたい。センセに愛されたい。今、この瞬間…センセを独占したい。わたしだけのモノだって思いたい。それ以外の時間は、センセの恋人のモノかもしれないけど。今だけは…わたしのモノだって、思わせてください」

さくらの腕から力が抜けると、涙を流しながらその場に崩れた

さくらが膝をついて、座り込むと、両手で顔を覆った

僕の恋人?

さくらは、もしかして僕にさくら以外に付き合っている人がいると思っているのだろうか?

真央の存在を知ってるのか?

話してないのに?

僕は、さくらの前に膝を折ってしゃがむと、さくらの頭を撫でた

「さくら、僕の恋人はさくらだよ」

「え?」

さくらが眼球を真っ赤にして、顔をあげた

鼻の頭も泣いたせいで赤くなってる

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